生田緑地の生物多様性保全

湿地地区の水辺保全、アズマネザサ刈り、上の田圃の水の管理

日時 2019/3/21(木) 11:00〜15:00 晴、強風
場所 生田緑地 湿地地区 B05、上の田圃地区 B06
参加者 岩田臣生、岩田芳美

ハンノキ林下の湿地地区は水田ビオトープ班が本格的に自然保全活動を始めた最初の舞台です。
その目的は、当時既に消えていた植物(神奈川県絶滅危惧IA類)を復活させて保護するための環境を再生、保全することでした。
この目的は達成し、何とか保護していますが、神奈川県植物誌2018 によれば、この植物は、県内では城山と生田緑地だけになってしまっているようです。
生田緑地の宝とも言うべき、この植物の外にも、水辺には多様な植物が生育していますが、そんな植物と湧水のバランスが良かったのか、2015 年春には、 神奈川県東部では急激に減少しているというシオヤトンボが大発生しました。
また、この環境をつくる過程で、自然に発芽して成長したハンノキの実生には、ミドリシジミが棲息するようになりました。
この湿地地区 B05 は、生田緑地の生物多様性を保全する活動としては非常に重要なフィールドになっています。
しかし、安定的に十分な湧水を得られない環境下において、多様な種の共存を前提に、競争力の弱い植物を保護することは、なかなか大変です。

今回は水辺の攪乱の前に、水路の水漏れ穴を塞いで、湿地全域に水面を広げておくことにしました。
水辺には、既に、コウガイゼキショウが広がって、展葉していました。
そろそろ、水辺の攪乱をするべき季節かも知れません。


水辺の周囲のアズマネザサ刈り、畦部のウツギ、ヒメコウゾ、ヤマグワなどを刈り込む活動も行いました。
畦部に発芽したヤマザクラやイロハモミジの実生が大きく育ちつつあります。
草地には、カキドオシが咲き始め、フキノトウは大きく伸びていました。


湿地地区の活動を終えてから、一昨日、水漏れ穴を塞ぎ、導水路の泥上げを行った上の田圃の状態を確認しに行きました。
下の段の中央部近くまで、水が届いてはいましたが、まだ湛水には 2〜3cm 足りません。
もう一度、畦沿いに水漏れ穴を探して歩き、1ヶ所を見つけて塞ぎましたが、・・・。

畦には、タネツケバナが咲いていました。

この日は暖かかったせいか、越冬していたルリタテハが飛んで来て、陽光を受けていた枯葉の上に降りました。


帰り道、萌芽更新地区を眺めると、アカシデ、イヌシデの芽吹きの色の違いが、青空を背景に、益々鮮明になっていました。

辺りには、漸く、オカスミレやナガバノスミレサイシンが咲き始めました。


ピクニック広場では、キブシの花が輝いていました。
1〜2 月は、くすんで、萎れて感じられましたが、この日のキブシはエネルギーに溢れていると感じました。

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