生田緑地の生物多様性保全

湿地地区の水流沿いのアズマネザサ刈り
日時 2019/2/7(木) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 湿地地区 B05
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美

ハンノキ林下の湿地再生地 B05 の右岸の水流沿いのアズマネザサ刈りを行いました。
当該地区は、昔、谷戸に伸びていた水田(谷戸田)の一番奥の田圃だった所です。
1958 年(昭和 33 年) 9 月 27 日に神奈川県に上陸した狩野川台風によって、生田緑地では各所で斜面が崩落しましたが、この辺りの田圃も崩落した土砂に覆われてしまいました。
当時の地主さんは水田を諦めて、畑への転換を進めたそうです。
水田ビオトープ班では、本格的に自然保全活動を始めるために、2004 年 10 月に シンポジウム「市街地の中の里山 "生田緑地" の自然をどう考え、どう保全するか」を開催して、 自然保全活動の進め方について、行政や関心のある市民の皆さんから意見を聞き、活動の方向性を見定めて、同年 11 月に、当該地区 B05 の湿地化に着手しました。
その直接的な目的は、消えてしまった水辺の植物の復活でした。
その結果、目的とした希少植物(現在、神奈川県絶滅危惧 IA 類)の復活は果たしました。
生田緑地では大規模な崩落を経験して、一度移動した不安定な土砂が堆積しているためか、水流には常に土の微粒子が流れていて、流速の落ちた所に溜まるため、 放置すれば水域は消えていき、多くの水辺の動植物は消えていく運命にあります。
ですから、保全活動によって復活させた特別な植物に限らず、ヒメシロネチダケサシミズタマソウオニスゲミヤマシラスゲゴウソコウガイゼキショウミズニラミゾソバツリフネソウアキノウナギツカミなどが 見られる湿地再生地区 B05 は大切だと考えています。
アズマネザサの茂みを刈ったら、蕾をつけたフッキソウサルトリイバラモミジイチゴなどが現れました。 モミジイチゴは棘が刺さって痛いので、無い方がいいと思ってしまいますが、下を向いて咲く大きな白い花は里山らしさを感じさせてくれます。
水流の底土は飯室層ですが、落枝や落葉、泥が溜まっている場所も多く見られました。


この日の生田緑地整備事務所外壁には、シロフフユエダシャクなどの蛾類が多数見られました。
シロフフユエダシャク

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