生田緑地の生物多様性保全活動、

ハンノキ林下の湿地の水辺保全

日時 2017/5/4(木) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 ハンノキ林下の湿地
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、政野祐一、森 正徳

ハンノキ林下の湿地は、昔は田圃だった所を畑に転用する努力が行われた後に、放棄されてヤマグワ、ヒメコウゾ、ススキなどが繁っていた場所で、そこに湧水を引き込んで、 湿地化を進める活動を13年間続けてきた結果、漸く、渇水期でも水を残すようになってきました。

湿地 3段目の水辺
その湿地の 3段目には、里山の湿地に普通の植物が見られるようになりました。 しかし、一方で、コガマ、ヨシ、ミゾソバ、セイタカアワダチソウなどの勢いは強く、これらが優先する湿地になっていました。
そこで、思い切って、この水域となっていた部分の攪乱をすることにしました。
この日は力持ちが集まったので、その攪乱作業を 3人に任せました。
気が付いた時には、水溜まりは広げられ、一つの代掻きされた田圃状態になっていました。
この日は流水量が少なく、水が溜まるのかどうかは調べることができませんでしたが、良い結果になってくれることを祈っています。


湿地 1段目
湿地 3段目の活動は 3人に任せて、1段目の水辺保全として、今回は水路の泥上げを行いました。
一面にスギナなどが繁茂している中に足を踏み入れた所で、小さな山吹色の翅が鮮やかな蛾がヒラヒラと飛んでいるのが気になりました。
しかし、草の葉上に止まったら山吹色は消えて、目立たなくなりました。後翅だけが山吹色だったようです。
(タイワンキシタアツバ)

かつて、水溜まり状に広げていた所には、泥が溜り、ヨシとミヤマシラスゲが繁茂していました。
水辺には、ツボスミレが集まって咲いている所もありました。
この水路の岸辺には、ヒメシロネ、チダケサシなどが育ち始めている所もあるので、注意しながら、ミヤマシラスゲの茂みの中を掘り進みました。
ミヤマシラスゲの先端には、シモフリコメツキ類が何匹もいて、次々に飛び立っていました。


ムラサキシジミもいました。

そろそろ見られる時期だと思って、時々、草の上を観察していたら、クロハネシロヒゲナガ♂がいました。


湿地 1〜2段目のカナムグラの抜き取りも行いました。


湿地 2段目
湿地の2段目では、まず、4/25(火)に攪乱して、水をヒタヒタの状態にしておいた場所に、2〜3年前に採取しておいた大事な植物の種子を蒔きました。
今年は自然状態での発芽が未だ見られなかったためですが、何とか発芽して欲しいと祈る気持ちです。

2段目には、シオヤトンボ♂♀がいました。

モンキアゲハが何度も飛来して、吸水していました。
モンキアゲハは、関東を北限とする南方系の大型のアゲハチョウで、都市部には少ないものの、平地や低山地の森林周辺では普通に見られるチョウです。

また、竹林側のツゲの木の下に溜まった土砂を掘りあげました。
毎年少しは泥上げをしていましたが、今回は大量の泥上げができました。


帰り道、萌芽更新地区付近には、ガビチョウが 4〜5羽出て、煩く鳴いていました。
コミスジが園路にいました。

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