生田緑地の生物の生息環境を再生・保全する活動


湿地の攪乱と水路変更、ヤマグワ等の除伐、セリバヒエンソウ駆除
日時 2013/4/22(月) 10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地 稲目谷戸の湿地 
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三

前日の雨によって水流の流量は増していました。 晴れあがって気温が上がって、前日見た時はもう終わりかと思ったゲンゲ(レンゲソウ)の花もすっかり勢いを取り戻し、花が咲き、虫が飛んで、初夏の気配が強く感じられました。
この日は、同じ湿地での活動ですが、3人とも別の活動を行いました。

鈴木は、3月に6割ほどを終えていた3段目のヤマグワやヒメコウゾを刈り取る活動の続きを行い、完了させました。
前回この活動をした時には、ヤエムグラやムラサキケマンなどの草が生えていませんでした。 「草が生えたのでやり難かった」というのが、この日の感想でした。
丁度、ヒメコウゾの花が咲いていたので、これを観察しました。


岩田芳美は、ピクニック広場下から始めて湿地まで、セリバヒエンソウやカナムグラの駆除を行いました。


岩田臣生は、竹林下から流れてくる水流を湿地の2段目に引き込むための水路をつくりました。
今年、数回の活動で伏流して逃げ出していた水流を元の場所に戻し、小さな堰をつくって橋から出た所の水位を上げておきました。 その場所から2段目の水域に水路を掘りました。
高さ関係は丁度良かったようです。 導水は上手くいきました。
水量は計測していませんが、元々の水流には全流量の3割は流れだしている感じです。
元の水流に1〜2割流れていれば、下流の水辺の生物にも影響が無いものと思います。


この場所を湿地にする活動を始めてから数年経った頃からハンノキの実生が育ち始め、田圃だった頃の面影は消えつつあります。 しかし、段々に造られている地形、湿地に復活してくる植物たちが、昔は田圃であったことを教えてくれます。

湿地の2段目は、これら復活した植物を保護するために手をいれていますが、今年は「田起こし」のような攪乱を試すことにしました。 チゴザサの繁茂を抑え、チゴザサの根が安定するのを妨げることが必要だと考えています。 ここには既にコウガイゼキショウが繁茂していました。 オニスゲの葉も伸びています。 ゴウソは花序をつけていました。 コガマも葉を伸ばし始めました。


チゴザサの根を鍬で掘り返していたら、飛び立ったものがいました。 光を受けて翅を光らせながら飛ぶ姿はウスバカゲロウを太くしたような感じでした。 少し離れた場所のイヌツゲに止まったので見に行ったらシオヤトンボの未熟個体のようでした。
活動中に上の田圃の導水路の状態を見に行ったら、シオヤトンボ♀1、シオカラトンボ♀1を見つけましたので、この日、シオヤトンボを2個体目撃したことになります。
シオヤトンボは春1番に現れるトンボです。 県内東部では急減していて、生田緑地の谷戸でも毎年、僅かの個体しか見ることができません。 神奈川県レッドデータブック2006では要注意種としています。

帰り道の尾根にはヤマツツジが咲いていました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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