生田緑地の谷戸の自然保全活動


里モニ)人為的インパクト調査
日時 2012/1/17(火) 10:00〜15:00 晴
場所 生田緑地 東口〜野鳥の森〜つつじ山〜奥の池〜ヒマラヤシーダ広場〜科学館裏谷戸〜奥の池〜 西口〜公園管理事務所〜枡形山〜飯室山〜長者穴古墳〜東口〜枡形山〜城山下谷戸〜戸隠不動尊跡〜戸隠不動口〜 ヨシ原〜田圃〜ハンノキ林〜ピクニック広場〜公園管理事務所
参加者 岩田臣生、大橋毅、金子文隆、小泉恵佑

モニタリングサイト1000里地調査の人為的インパクト調査を行うことにしました。
これは5年に1回の調査です。
調査用の図面は1980年の相関植生図に現在の園路を重ねたものを使用しました。また、この日の作業範囲は、園路からの観察調査によって可能な範囲のみとしました。
集合は東口にして、野鳥の森から歩き始めました。東口には建築中のビジターセンターが姿を現していました。

●東口〜野鳥の森
菖蒲池周辺の植栽については、後日、補足調査を行なうことにして、この日は詳細を省きました。
1日の作業で中央地区全体についての基本的な調査を済ませたいと考えたからです。

●野鳥の森〜つつじ山
常緑樹が多いと思っていた野鳥の森も、高木層は落葉広葉樹が殆どを占めていました。
植栽されたサザンカなどは大きくなったコナラの樹冠の下に入っていますので落葉広葉樹林になります。
それでも所々に、ヒノキやシラカシ、クスノキなどが高木層に混じっていました。

●つつじ山〜梅園〜奥の池〜中央広場〜ヒマラヤシーダ広場〜県の樹見本園〜科学館裏谷戸〜奥の池〜見晴台〜西口〜公園管理事務所
針葉樹林と思っていた場所も、この季節によく観察すると、周囲の落葉広葉樹と高さが変わらず、鳥瞰図を推測した時に100uにも満たないと思われる針葉樹が多いことが分かりました。但し、その数や集中度合いを考慮して針葉樹林、常緑広葉樹林とした場所もあります。


午前中に中央地区の南側半分の調査を済ませ、公園管理事務所2階の会議室で昼食をとり、調査結果の整理を行いました。

●公園管理事務所〜枡形山〜飯室山〜長者穴口
午後は中央地区の北側半分の調査を行いました。

●長者穴口〜東口
長者穴口から東口までは市街地の中を歩き、外側から観察しました。
雑木林の中にモウソウチクが侵入しているのが目立ちます。
一方、1980年には竹林だった所が常緑広葉樹林になっていました。ここではモウソウチクの除伐が進んでいました。

●東口〜枡形山〜城山下谷戸〜戸隠不動尊跡〜ヨシ原〜田圃〜梅畑〜ハンノキ林〜ピクニック広場〜公園管理事務所
東口〜枡形山では雑木林の中から突出しているモミが数ヶ所で見られました。
枡形山からは講習会でも歩いた地区です。


1980年から30年が経過して、どんな変化が見られたでしょうか。
イ) 樹木が大きくなって、樹冠の広がりが園路沿いの植栽樹を覆ってしまっている所が多く見られた。
ロ) 常緑針葉樹はヒノキ、サワラ、スギが、また僅かにアカマツ、モミ、カヤなどが見られたが、いずれも単独で広い面積を占めているところは無かった。
ハ) 1980年の植生図に針葉樹林が記載されている所は、その頃の常緑針葉樹が突出して高かったためと思われる。現在は、落葉広葉樹とほぼ同じ高さとなって埋もれかけている。
ニ) 落葉針葉樹のメタセコイアが落葉広葉樹林の中で成長し、落葉広葉樹林の面積を浸食している。
ホ) 相関植生図には表れないが、低木層から亜高木層にかけて常緑樹が集まっている場所が各所に見られた。遷移が進んでいるのだろうか。
ヘ) 1980年に竹林とされていた場所の竹は除伐されて、カシ林の様相を呈していたが、周辺の落葉樹林にモウソウチクが広がっている。

中央広場〜菖蒲池の植栽、城山下谷戸生物保護区の谷戸の植生、岡本太郎美術館西側地区、日本民家園については後日の補足調査をすることにしました。

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation