生田緑地の自然の保全

セリバヒエンソウ、カナムグラ除草、アメリカザリガニ駆除
湿地再生地の水辺管理


日時 2010/5/10(月)10:00〜13:30
場所 生田緑地
参加 城本法子、岩田臣生、岩田芳美

ハンノキ林上でセリバヒエンソウを駆除しました。
今回から、セリバヒエンソウの駆除をしていること、生田緑地では多摩丘陵の在来の自然を大切にしていること、セリバヒエンソウは中国原産の一年草で、 明治時代に日本に入ってきた帰化植物であることなどを書き出したものを貼り出して活動することにしましたが、 それでも何をしているのかと聞いてくる来園者が何人もいました。

ハンノキ林には2羽のアオゲラがいました。いきなり後ろから現れて、鳴き交わしながら、樹から樹へ移動していましたが、やがて姿を消しました。

ハンノキ林下の湿地で水辺の手入れをしました。
今までは1段目の池と2段目への流れを分けていましたが、雨の度にうまく分流しなくなっていました。また、池の水質が富栄養になったのか、 アオミドロが発生していました。
そこで、全てを1段目の池に入れて、一番奥から元の流れに戻して2段目に導くことにしました。そのための水路を堀ることにしたのです。

湿地に入ったところで、池の辺りからヤマサナエと思われるトンボが飛び出しました。
ヒメジオンの花にコチャバネセセリが吸蜜に来ていました。 (次の写真)

溝を掘っていると、草の中からクビキリギス緑色型が現れました。(直翅目、キリギリスの仲間です。)

草の上をクロハネシロヒゲナガ♂がフワフワと飛んでいます。(次の写真、ヒゲナガ科の蛾です。) 初めて出会った時は、なんで白い糸くずが草の上で漂っているのだろうかと不思議に思ったものです。 よく見ると、糸くずと思ったのは体長よりはるかに長い触覚だったのです。こんなに長い触覚があると飛び辛いだろうと思うのですが、 この長い触覚は繁殖行動に関わる重要な役目を持っているのでしょう。

クロボシツツハムシはテントウムシのような模様のハムシといった印象の甲虫です。 成虫はナシやクリの葉を食べ、幼虫は枯葉を食べているそうです。 また、幼虫は糞でつくった殻を背負って生活していることが知られています。 普通種ですが個体数は多くないというのですが、今春はよく見かけています。 (次の写真)

春〜初夏の湿地ではシモフリコメツキの仲間によく出会います。 (次の写真のコメツキムシです。)

上の田圃下の草地のカナムグラやアメリカフウロを除草しました。
ここでは、園路沿いのツリフネソウやミゾソバのためにカナムグラを駆除していることを書いた紙を貼り出して活動することにしました。
それでも、カナムグラとは何か、何故、除草するのかと何度も聞かれました。
セリバヒエンソウもカナムグラも、この季節は手で簡単に引き抜くことができます。 また、これを抜き取るために草地に入ることでミゾソバなどを踏みつけてしまいますが、この時期は1〜2週間で簡単に回復すると思います。 昨年のように大きくなってから駆除しようとすると、ミゾソバやツリフネソウに与えるダメージは大きくなります。 昨年の活動の反省にもとづいて除草時期を早めました。

この草地の木道を挟んだ反対側にはオヤブジラミが一面に広がっています。 草丈は50〜60cmあるのに、花は極端に小さく、髪の毛の中にうごめく虱(しらみ)のイメージだったのでしょうか。 (次の写真)
今まで気がつきませんでしたが、田圃の畦に沢山の花をつけたタガラシがありました。

木道で休憩しているところに、カナヘビがやってきました。曇り空ですが、体を乾かしているのでしょうか。
ベニスズメ(成虫)が草陰にいました。(次の写真、スズメガ科の蛾です。)
この谷戸ではミゾソバとツリフネソウを優遇しています。 ツリフネソウはベニスズメの食草ということですので、ベニスズメにとっても別天地になっているかも知れません。

梅畑のセリバヒエンソウも除草しました。

下の田圃付近、生田緑地の隣接地では、Yさんの奥さんが畑にナスの苗を植えていました。
腰掛けて休んだところで、挨拶をして、ホタルの話、下の田圃とマンションの間の土地の話などを聞きました。
下の田圃とマンションの間が草地になっていることが不思議でしたし、植樹して樹林にできないだろうかと思っていた土地です。 草地のままになっている理由が分かりました。

今年はハンノキの若木に沢山のミドリシジミがついています。
曇天のせいでしょうか、そのミドリシジミの幼虫がハンノキの枝先で活動していました。
見ていると意外に速く移動するので驚きました。
それにしても、こんなに個体密度が高いのはどうしたのでしょうか。 無事に羽化するでしょうか。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation