生田緑地の生物多様性保全
【2017/1/26 更新】
田圃の水の管理、湿地の草刈り
日時 平成17年(2005) 8月14日(日)10:00〜14:00 晴
場所 生田緑地 下の田圃、上の田圃、湿地
参加 岩田臣生

【下の田圃】
12日の夜の調査の際、下の田圃の水がないのに気がつきました。大雨で流れに変化が生じたのでしょう。
真っ先に下の田圃にいきました。田圃の中には僅かの溜まり水があるだけでした。
取水口はふさがっていませんでしたが、堰の両側に新たな水道(みずみち)ができていました。このバイパスは出口は直ぐに分かるのですが、入り口が分かりません。土嚢(どのう)を並べ直して、何とか田圃へ水が入りだしました。広がる水にのってホトケドジョウが泳ぎだしました。
デイパックの中にあった温度計は39℃を示していました。田圃の水温28℃、沢の水温20℃。
ツクツクボウシが盛んに鳴いています。今年の初確認です。
イネの80〜90%が出穂しましたが、イチモンジセセリの幼虫が潜んでいると思われる葉が多く見られます。
田圃の周辺にはヌマトラノオが咲いています。  
しばらく休憩してから、上の田圃に向かいました。


【上の田圃】
里山の自然学校の子どもたちがつくった案山子が可愛らしく、谷戸の景観にアクセントをつけています。僅かしか離れていなのに、ここではミンミンゼミが優勢で、ツクツクボウシの声は聞かれません。
上の田圃のイネは背丈も揃っていて、穂も出揃っています。
気温30℃、田圃の水温31℃、沢の水温19℃でした。やはり、水温の差が稲の成長に影響しているのでしょうか。
こちらのイネにはイチモンジセセリのいる葉が見当たりませんが、イナゴが目立ちます。
トンボ類も、オオシオカラトンボ♂2、シオカラトンボ♂4、♀1、ウスバキトンボでしょうか、赤トンボ♀1が産卵していました。
隣接する草地にはツマグロヒョウモン、スジグロシロチョウがきていますが、花らしい花は殆どありません。
変なものが飛んでいると思ったら、シオカラトンボ♂がキチョウを捕らえて、重たそうに飛んでいます。草に止まって食べ始めましたので、よく見ると、脚を動かしているチョウを頭から食べていました。
上の田圃の導水路に溜まった枯葉を取り除くと水の流れが少し速くなったような気がします。イネ科の植物につくカメムシは気になりますが、今のところ野生のイネ科植物の花穂でしか見かけていません。


【湿地】
気温30℃〜32℃
湿地へまわって、お昼にしました。汗が全身から噴き出して、腰掛けていたベンチを濡らしてしまいます。セミはうるさいくらいにミンミンゼミが鳴き盛っています。
オニヤンマが数頭、湿地の上を飛んでいます。ベンチに座っていると目の前まで向かってきます。谷戸の最奥部、草地と樹林の境界部ということでしょうか。
草刈りの前に少し、観察してまわります。一度咲いて、季節が移ったと思ったのに、またカラスビシャクが咲いていたり、昔、畑だった頃の名残でしょうか、ホタルの里のあちこちで、野生化したホオズキが赤く色づいていたりします。
草刈りを始めると、繁った草むらの根元に、大きなアズマヒキガエルがいました。危うく、鎌で切りつけるところでした。
湿地も3段3様、今までの土地の使われ方、日照、水供給の違いなどによるのでしょうか、植生や生き物にも差が出始めているように感じます。水の心配はありますが、これからが楽しみです。

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