イ)多摩川河口に生育する絶滅が危惧される植物
ジョウロウスゲ
護岸整備された河口域でも、度々氾濫があることでジョウロウスゲ(国絶滅危惧II類、県絶滅危惧IA類)などの植物が生育することがあります。


ハマボウ
海岸、河口塩生地生える落葉低木です。
神奈川県では三浦半島に自生してますが、多摩川河口塩生地にもあり、樹高葯3m、毎年7〜8月に花を咲かせています。
三浦半島に自生するハマボウは、神奈川県の天然記念物になっています。
※神奈川県絶滅危惧IA類



ロ)多摩川河口の海浜性植物
河口の先端では海岸性植物がみられるが、台風などの影響を受けやすく、生育が不安定です。

河口

(左)ハマヒルガオ、(右)ツルナ



ハ)多摩川河口の塩生植物

多摩川河口は川崎側に上流からの砂泥が堆積し、干潟が形成されています。
海水が混ざり塩分濃度の高い土地に生育する植物が生えています。


イセウキヤガラ(カヤツリグサ科)
満潮時には水中に生えているのを見ることができます。


ウラギク(キク科)
浦菊、別名ハマシオンで海岸に生えているキクの意です。近年減少しています。


アイアシ(イネ科)
葉はアシの似ていますが果穂が違います。アシと混生しています。


ウシオハナツメクサ
花期4月〜6月。
茎は根元からよく分枝して、株を作り地をはう。
茎の先に薄紅色の5弁花をつけます。「潮ツメクサ」で海岸に生えるツメクサの意です。
花は日が当たらないと開花しません。
※外来種(ヨーロッパ原産)


ホソバハマアカザ
花期8〜10月。
草丈30〜60p。
名は海岸に生える葉が細いアカザの意です。
多摩川河口の塩生地に生えています。
神奈川県内では多摩川河口と三浦海岸に見られます。



ニ)多摩川河口の砂浜、ヨシ原

多摩川河口のヨシ原
河口にはヨシの茂みがあり、砂浜にはチゴガニ、アシハラガニなどのカニ類が棲息している。

ヨシ
古くは「アシ」と呼ばれていた植物ですが、8世紀頃、「アシ」は「悪し」に通じることから「ヨシ(良し)」に代えて使うようになり、標準和名は「ヨシ」が採用されました。
多摩川下流から汽水域にかけて大規模な群落を形成するほか、谷戸の湿地などにも繁茂しています。
花期 9〜11月。草丈1.5〜3mになるイネ科植物です。

(左)多摩丘陵谷戸のヨシ、(右)多摩川大師河原のヨシ原

チゴガニ
甲幅 10mmの小さなカニで、鋏脚が左右同大で白い。


アシハラガニ
甲幅 30mm、鋏脚が左右同大の中型のカニ。


クロベンケイガニ
甲幅 40mm、鋏脚左右同大、先端部は白いが腕部は紫色。すね毛があり、ゴツゴツとして強そう。比較的淡水側に棲息。


ヤマトオサガニ
甲幅 40mm、横長 2:3 の甲羅は平滑無毛。全国的に多産。


コメツキガニ
甲長 10mm、甲幅 10mm、水質汚染には強いが、泥地には棲息しません。
春から夏にかけては、オスが背伸びをして両方のはさみを振り下ろすウェービング(Waving)という求愛行動がみられ、これが臼と杵で米をつく動作に似ていたことが和名の由来となりました。
干潟の砂地に穴を掘って住んでおり、潮が引くと盛んに歩き回ります。
写真は、雄同士がなわばり争いをしているところで、まるで砂の土俵で相撲をとっているかのようです。
チゴガニの「ダンス」とコメツキガニの「格闘」は、コアジサシの魚のハンティングと同様、魅力的な海の生き物のシーンのひとつだと思います。
工業都市である川崎は、よその土地の人から見たら、コンクリート護岸だけで、自然の海の生物などいない、と思われていることがあります。
隣の横浜には人工海浜しかありません。
多摩川があることで、東京や川崎には干潟を中心とした海辺の生き物がいることは大切なことだと思います。



多摩川河口の珍しい昆虫


トビイロヒョウタンゾウムシ
川崎では数少ない本来は砂浜に分布する昆虫で、多摩川河口部に生息しています。
体の色模様も砂とそっくりです(但し、畑や公園の土の上にも、やや類似の種がいますので要注意)。


キイロホソゴミムシ
干潟のヨシ原に生息します。
神奈川県では川崎から初めて見つかりましたが、最近は堤防下の環境変化により確認が難しい状態です。
三浦半島からも発見されました。
※環境省絶滅危惧IB類

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