生田緑地観察会
主催 青少年科学館

生田緑地観察会“里山の自然”

日時 2017/1/8(日) 10:00〜12:00 曇 5℃
ガイド講師 水田ビオトープ班 岩田臣生
サポート  事務局 岩田芳美
観察会参加者 19人(大人 14人、子ども 5人)
       横浜市 2人、東京都世田谷区 2人
       麻生区 6人、多摩区 1人、宮前区 2人、高津区 4人、中原区 0人、幸区 1人、市内不明 1人

会場/ 青少年科学館前〜中央広場〜奥の池〜西口園路〜西口駐車場前四阿〜谷戸降り口〜ピクニック広場〜萌芽更新地区上の自然探勝路〜ハンノキ林上のデッキ〜谷間の探勝路〜梅畑〜上の田圃〜 メガネ池下水路

青少年科学館前で、気温を推測してもらいました。
そして、観察会の途中、各所で、体で気温を感じ取る体験をしましたが、その時の基準気温として体で覚えます。
青少年科学館前 気温 5℃

次は、中央広場のジャブジャブ池に指を入れて水温を調べてみました。
中央広場の池 気温 5℃、水温5℃


奥の池はアオコが発生して水面が緑色でした。
一般的には、富栄養化によって微細藻類が大量に発生したためだと言われていますが、昨夏は、このような状態にはなっていなかったと思います。
秋以降のことだとすると原因は何でしょうか。
岡本太郎美術館から送られてくる水の窒素やリンの濃度が高いのではないか。
池の水が、数日かけて入れ替わるような流れが、池の中にできていないのではないか。
カルガモが 2羽、岸近くで眠っていました。こうした定着している水鳥の糞尿が池の底に堆積しているのではないか。


飯室層の露頭になっている崖面には、僅かに、水が滴っています。生田緑地の湧水についての説明をしました。


西口園路を上っていくと、アズマネザサを覆っていた、枯れたマント植物の上に 2羽のヒヨドリが現れ、ヒヨドリジョウゴの紅い実を啄んで、逃げました。
ヒヨドリジョウゴの実をヒヨドリが食べたということに新鮮な印象を感じました。
目前、僅か、1〜2m先の所で起こった一瞬の出来事を見た参加者は、感激していました。


寒い冬の生田緑地の観察会です。
何か、参加して良かったと感じてもらえることをと考えたのが、ユーカリノキとプラタナスの観察です。
共に、明治時代に日本に入ってきた外来種です。 生田緑地の、この2種は、土地の公有地化以前に植えられていた樹木です。
大木になった外来種について考えるきっかけにしてもらいたいと思いました。
ユーカリノキは殆ど皮が剥がれているのに、生きていることに驚かされます。
小枝についている葉は対生で楕円形であるのに、地面に落ちていた葉は長刀の刃のような形をしています。
丁度、実が落ちていましたが、その形が独特でした。
予想以上に、皆さん、楽しんでいました。
プラタナス(モミジバスズカケノキ)は、まだ枝に実をつけていましたが、いくつかは落ちていて、冠毛のついた種子を取り出して観察している参加者もいました。


谷戸の降り口のデッキの手摺りでは、フユシャク♀を探しました。
イチモジフユナミシャク♀?が 2匹いました。
冬にしか出会えない昆虫は、寒い真冬の観察会の宝物です。
翅が殆ど無くても、成虫です。冬に繁殖する昆虫で、そのために、こんな場所に出てきています。
♀は飛べないので、狭い範囲で一生を過ごし、命をつないでいる生物です。


ピクニック広場東の階段上斜面では、ハンショウズル、タマノカンアオイ、モミジイチゴなどが観察対象になりました。


萌芽更新地区では、冬の雑木林を観察し、雑木林の伝統的な管理を観察できる雑木林を目指して管理していることなどを説明しました。
この時期、1998年に補植されたクヌギが大きく育っていることが良く分ります。


オニグルミの葉痕の観察をしました。
ハンノキ林では、ルリビタキ♀が観察できました。
見上げると、ハンノキの梢には、昨年受粉した種子がある実(松果)や、一月もすれば花粉を撒き散らすであろう雄花序が観察できました。
ハンノキ林から田圃付近まで、マンリョウ、オモト、アオキなどの赤い実、ヤツデやシュロの葉が子どもたちの関心を引きました。
ハンノキ林下 気温 3.5℃


ハンノキ林下に、2004年以降、つくってきた湿地には、シジュウカラ、アオジなど、3〜4種の野鳥が来ていました。
水場と身を隠す繁みがあることが、小鳥たちに好かれる環境になっているようです。


冬期湛水の田圃も観察しました。
田圃上の導水路 気温 5℃、水温 8℃


最後に、橙色に染まった水路を観察しました。ここまでの状態になったのは初めてのことです。
これは、鉄バクテリアの活動の痕跡です。
ブヨブヨした気持ち悪い印象がありましたが、手で掻いてみると、埃のように、水の流れに拡散しました。
橙色の水路 水温 7℃


特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation