モニタリングサイト1000里地調査の効果



かわきた第217号(2008年11月発行)掲載 川崎の自然をみつめて
モニタリングサイト1000里地調査の効果

かわさき自然調査団 岩田臣生

今年6月、生田緑地が環境省の進めるモニタリングサイト1000里地調査の一般サイトに選定されました。今期(5年間)は全国で182ヶ所選定され、ボランティアによる調査活動が始まっています。
生田緑地の調査は、かわさき自然調査団が担当し、植物相、鳥類、ホタル類、中・大型哺乳類、水環境、人為的インパクトの6調査を行ないます。
全国の里地の自然は、この半世紀で大きく変容しているとの認識はあるものの全容を示すデータはなく、環境省としては今後100年間の変化を科学的データとして把握し、適切に施策へ反映させることを目的としていると思います。
一方、私たちは生田緑地の自然が全国レベルで評価される質を備えていることを川崎市民、否、全国民に発信する第一歩だと捉えています。この調査は全国的な変化の把握を目的としていて地域固有性を評価するものではありませんが、地域に根ざしてボランティアで活動しているものにとっては、こうしたプロジェクトに名前を掲げられたことは意味があります。また、公害の街というイメージの払拭を図りたいと考えている川崎市にとって、こうしたプロジェクトの対象となる場所があり、そこで活動している市民団体があるという情報を発信することは意味があると考えています。
かわさき自然調査団は自然の調査を基幹的活動としていますが、コスト面から手が出せなかった哺乳類調査を実施することができることは直接的なメリットでもあります。今夏暑さと蚊の猛襲の中でカメラを設置する場所を探索し、9月になってやっと見つけた3ヶ所にカメラを設置し、首尾よく撮影できたタヌキやハクビシンの姿を見て、健康状態が良さそうなことに安心したり、継続調査の過程で個体識別までやりたいと夢を膨らませたり、今まで気がつかなかった野生動物の糞や足跡にも注目するようになり、
生田緑地の中の哺乳類の行動が気になるようになっています。
様々な良い効果が出始めていると感じています。どうぞ皆様も注目していてください。



この文章は、かわきた第216号 2008年11月発行に掲載されたものです。
《事務局へのメール》
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation